2024年は春から非常に忙しいシーズンでした。
おかげ様で、大きな憂いもなく年を越す事ができました。
ただ、お客様より「ホームページが全然更新されていなくて、大丈夫なの?って思った(笑)」とご指摘を頂いてしまったので、ボチボチ更新していこうと思います。
DJI D-RTK3が出た!

どんどん新製品が出る中で、いつまで経ってもD-RTK2は変わらないと言われ続けて来ましたが、ついにD-RTK3が発表されました。
ウチのD-RTK2も2019年から使い倒されているので、もう6年にもなります。
新製品サイクルが目まぐるしいDJI製品において、かなりの長寿製品です。
D-RTK2と一体何が変わったのか?
・RTK-VRS測量が可能になりました。(ローバーステーションモード)
・バッテリー稼働時間が大幅に延びました。
・VRS計測時にQZSSに対応しました。
・Matrice 4EのデータをDJI Terraで処理する際に、ローカルPPKに対応(後日検証します)
・高精度単独測位(PPP)に対応※但しBeiDouのみ。
・そして、とにかく安い!!
細かい性能向上は、メーカースペックを見れば分かるので割愛します(←雑!)
https://enterprise.dji.com/jp/d-rtk-3/specs
注意点としては、リレーステーションモード(電波の中継モード)は日本では使用できません。
これは、日本の法律の問題です。
また現在、D-RTK 3の位置校正は手動でのみ対応。今後の機能拡張については、公式のアップデート待ちです。
ローバーステーションモードを試す

D-RTK3とくれば、基本的には皆さんドローンに接続するところから始めると思います。
ウチは、とにかく「現場で使える」事が一番なので、「ドローンと繋がって位置補正が出来る」なんてのは当たり前の話なので、そんなのは後回しです。
要は、こいつがどれだけの位置精度を出せるか?
今回のテーマとなります。

今回の検証は、
・基準点座標とどれくらいの差異が出るか?
・他の機材と比較して、どの程度の違いがあるか?
検証機材は
・DJI D-RTK3 を2台
・EMLID RS3
・TOPCOM HyperSR+FC500
合計4台を持ち込みました。

今回は、街区多角点を使用しました。
公共測量3級基準点相当なので、試すにはちょうど良いでしょう。

今年の冬は本当に雪が降りません。
でも、なぜか標識が埋められている所は雪の下になっている事が多くて苦労します。
ここで、1つ残念な事が…。
現状で、D-RTK3は楕円体高しか選べないという…。
仕方ないので、楕円体高で計測して、今回は後で標高に変換しました。
抜群の作業性のD-RTK3とEMLID RS3
本音を言います。
「もうTOPCON使いたくない…。」
とにかく旧型のFC500が遅い…。繋がらない…。初期化がとにかく遅い。
技術的にノイズを除去した計算をしているとか聞いた事がありますが、本当に仕事が進まない…。
最近の機材は、測位からFIXするまでの時間がめちゃくちゃ早いです。
価格も安いし、スマホアプリでサクサク動くD-RTK3とRS3は作業効率は3倍以上になります。
ちなみに、Hyper-SRは山間部では使い物になりませんが、EMLID RS3は同じ環境でFIXが可能だった実績もあります。
「座標が出せる」事が重要だったりする現場もあるので、こういった作業性の高さはもっと考えられるべきだと思います。
D-RTK3ローバーステーションモードの精度は
まず、最初に断っておきます。
今回の検証は、特定の場所における特定の条件下でのテスト結果になります。
テスト結果を見て一喜一憂すべきものではありませんし、それが全てにおいて確定される訳ではありません。
で、結果は下記になります。

4カ所を測った平均値となります。
どこを測ったかは、今回は非公開とさせて頂きます。
【DJI D-RTK3の傾向】
水平方向の位置精度はおおよそ平均1㎝程度、最大でも19㎜なので、VRS機器としては優秀。
ただし、垂直方向の差異が10㎝近い。
GNSS測量の傾向としてはよくあるケース。
座標変換ツールが原因か?
【EMLID RS3の傾向】
平均的に4㎝前後の差異が発生している。
もうちょっと良い結果になると思っていたが残念。
【TOPCON Hyper-SR】
基準点の成果表にGNSS測量と書かれていると、TOPCOMが多い。
この中では一番、三角点座標に近い数字になっている。
当たり前と言えば当たり前だが、やはり標高誤差が4㎝と気になるところ。
D-RTK3は高さ方向の精度が改善されれば、今回の条件においては十分な性能と言えると思われます。
但し、この基準点に合せた計測って曲者で、基準点と水準点併用での成果表で標高数値が異なっていたりと、「何がホントなの?」って悩ませられる事があるのも事実です。
これが別の場所で計測すれば、間違いなくまた違った結果になるとは思います。
D-RTK3はこれからファームウェアも更新されて行くと思うので、また改めて色々な条件で再テストしてみたいと思います。
D-RTK3で気になるところ
D-RTK3のアプリは「DJI Enterpriseアプリ」で現状でAndroidでの提供のみです。

法人で使用する際に、iPhoneとAndroid両方でアクセスできないのは、ユーザーの選択肢を狭めます。
また、計測した座標データはスマホ内にエクスポートするので、場合によっては、手間が増える可能性があります。
世の測量会社さんは結構ipadの所有率高いと思う(特にPhantom4時代からドローン飛ばしている会社さん)ので、この辺りは、今後改善してほしいと思います。
この点、使いやすいのがEMLID。Androidでもiphoneでも使えて、座標データはクラウドなので、事務所戻って機材に電源入れる必要がありません。
あとから座標変換やPPK処理もしれくれるので、この辺りは専用メーカーが一日の長かと思います。
D-RTK3はこれから良くなる製品

今回は、簡単にD-RTK3の性能を試してみました。
本来は、ドローンの基地局として使用されるための物かと思いますが、格安VRSとしての将来性も高いと思います。
今後もファームウェアの更新で、機能性の向上が図られると思いますので、既存の機体ユーザーも検討の余地が十分にあると思います。
また、ファームウェアが更新されて、天気が良くなったら色々とテストしてみたいと思います。
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